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Whiskey

カウンターにふたり、

並んですわる。

触れそうな距離、

保ったままで、

あなたの指先、

マルボロの文字、

灰が燻る、

グラスを重ねる。

あなたの求める女の子にはなれないし、

それは私が描いてるものとも違う。

だけどどうしようもなく惹かれている。

あなたに、

その手が傾けたウイスキーグラスの中で、

音を立てて溶けていく氷、

夜は更けていく。

あなたが時々、

私の目を見る。

鼓動の音が、聞こえませんように。

あなたの求めるものに賛同できないし、

私が求めた人とあなたは違う。

先が見えないことも充分わかってる。

それでも、

その手が傾けたウイスキーグラスの中で、

音を立てて溶けていく氷、

夜は更けていく、

その手が抱き寄せた、あの夜憶えてる。

音を立てて溶けていく氷、

あなたの一歩を待っている私。


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