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秋桜

ねぇ私たち これからどうすればいいんだろうね

未来(さき)が描けなくて、途方に暮れてる。

あなたは何を思っているの

不安託して重ねた手と手

失くすのが怖いの

やっと手に入れた温もり

赤い秋桜を揺らしている

秋の夕日に染められた風

山積みになった本とランプ

うまく言えなくて

煉瓦造りの小さな家を通り過ぎた時に聞こえたピアノ

いつかこんな日常を手にしたら

そんなことを思った自分に驚いたの

だってそんな平穏な愛情は夢物語

知っていたのに

いつか一人で顔も知らない父親の元訪ねた時の

あの胸の高鳴り怖いくらいで

遠い記憶の最寄駅 おぼろげな道順(みち)見覚えがある

たどり着いた先にもう失った足取り

赤い秋桜を濡らしている

秋の終わりを知らせた時雨

季節は何度でも巡るから

そばにいてほしい

煉瓦造りの小さな家と楽しそうな家族の笑い声

私には遠い遠いもので帰りたい場所なんてなかったあの頃

思い出す

いつか終わってしまうとしたら

それがいつなんてわからない

伝わったようにぎゅっとあなた繋ぎとめてくれた

煉瓦造りの小さな家にはきっと怒鳴り声も怯えもない

本当はずっと欲しかった居場所

赤い秋桜に願った二人の未来

あの頃と同じはずのこの茜の空

違って見えたの


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